アラフォー世代での体外受精には様々な困難があります。

体外受精にステップアップを医師にすすめられるには、夫婦の年齢その他、妊娠に難しいと判断される条件があります。

ピックアップ障害(精子と卵子が出会えない)

排卵した卵は、卵管の先にある卵管采によって子宮に取り込まれ、精子と出会います。しかし、卵管采の形が悪い場合や、卵巣との位置がよくなかったりすると、精子と卵子がなかなか出会うことができません。

受精障害

成熟した卵の60~70%が受精するといわれますが、体外受精の場合、約10%前後の精子に受精障害が起こり、次のステップである顕微授精が必要とされます。

卵子の老化、成長しないなど、状態不良

卵子が不良な状態だと、なかなか受精にいたらず、受精できても受精卵が分割を途中でしなくなってしまいます。そのほか、妊娠に至っても、妊娠という状態の継続が困難になってしまったりします。

  • 卵子の状態を悪くしてしまう原因として
  • 35歳以上であること
  • 子宮内膜症を患っている
  • 多嚢胞性卵巣障害を患っている
  • 卵巣周囲が炎症をおこしている
  • hMG-hCG(強力な排卵誘発剤)の乱用や長期使用
  • 卵巣を手術したことがある

ほかにも卵管閉塞や卵管切除手術を受けたなど、クラミジア抗体陽性などの卵管異常、抗精子抗体が陽性であることなども加味して、体外受精の適応が望まれます。

※妻側の検査としては

  • 排卵がきちんと起こっているのかなど、女性ホルモンの検査
  • クラミジア抗原抗体の検査
  • フーナーテスト(成功後の子宮内にある精子の状態をみるテスト)
  • 卵管を正常に卵胞が通れる状態かどうか検査する、子宮卵管通水、卵管造影検査

※夫側の検査としては

  • フーナーテスト
  • 精液検査
  • クルーガーテスト(精液中の精子を顕微鏡で見て、精子の奇形などを見る検査)

体外受精の大まかな流れは、以下の7段階

1.排卵の誘発

月経の周期や、排卵の有無などをもとに排卵誘発します。月経周期の乱れや基礎体温が高温、低温にはっきりわかれていないと、排卵がうまくいっていないケースが多いです。他に、超音波で卵胞の発育不良や、発育しているのに排卵がされない、などの原因があると、排卵誘発剤の使用が適用されます。誘発するには、内服する薬剤タイプと、注射するタイプがあります。

2.採卵
膣から卵胞を超音波で見て、細長い採卵針を膣に入れて卵胞を刺し、卵胞液を専用の注射器で吸引します。

3.採精
採卵の日に合わせて、自宅または病院の採精室にて、精液を採取します。夫が仕事などで不都合なときは、事前に精子を凍結しておいて採卵当日に融解し、使うこともできます。

4.受精・受精卵の培養・分割
シャーレ(培養容器)内で卵子と精子を出会わせ、受精させます。

5.胚移植
原則として採卵から2から3日目に正常に発育した胚を、子宮腔内へ移植を行います。このとき移植する胚の数を多くすると妊娠率が上昇しますが、一方で多胎妊娠が発生しやすくなります。多胎妊娠は母体、子どもに問題を起こすことが多いため、日本産婦人科学会では移植する胚数は原則3個以下と定めています。この移植操作時の痛みはほとんどないといわれています。

6.妊娠判定
病院で血液検査により判定する場合と、自宅などで尿検査で判定する場合があります。血液検査が正確で主流です。

7.凍結
2の工程の採卵した際に、あまっている胚がある場合、「凍結」し今後の不妊治療で活用することができます。